いたずらっぽく笑う七倉さんに、今更ながらに思い出す。 不可抗力とはいえ、七倉さんのことを変質者呼ばわりしてしまったことに。 「ごめんなさい。本当にごめんなさい!」 もう謝罪の言葉しか出ない。 そんな私の頭をぽんぽんと優しく撫でた七倉さんは、 「申し訳なく思うなら、雛子ちゃんがテニスするとこ、今度見せてね」 そう言って、 「気をつけて帰るんだよ」 ひらひらと手を振って、もと来た道を帰って行った。