「うるさい!」 飛び起きた私は部屋を出て、ドタバタと階段を下りる。 「お兄ちゃん、うるさい!いま何時だと思ってんの?」 リビングの壁にかかる、古ぼけた振り子時計は午前5時を指している。 こんな早朝に騒音を鳴らして、いったい兄は何を考えているのか? そう思って恨めしく兄を見ると、気配を感じた兄はヘッドフォンをちょっとずらして人懐っこい顔でふにゃりと笑った。 「雛子、おはよう」