そんな陽希に、また胸がズキッと痛んだ。



「チケット、無駄にするのも勿体ないし。今度の土曜、俺と一緒に行かないか?亜理紗なら、女ってこと意識しないで、気楽に行けるし」



こいつは、どこまでバカなのか?



どこまで女心に疎いのか?



痛みが募って、怒りに変わる。



「バカ陽希!あんたとなんか、絶対行かない!」



パシッとチケットを叩き返すと、陽希はキョトンとした顔をした。



その顔が、悔しいくらいに可愛くて、また怒りが込み上げる。



「雛は大事な親友だけど。雛の代わりは絶対に嫌!」



感情が爆発して、涙が溢れる。



「誰かの身代わりなんか、嫌だよ」



突然、ぽろぽろと泣き出した私に、陽希が動揺する。



「え?うそだろ?泣くなよ。亜理紗」



「身代わりじゃなく、ちゃんと私を見て」



涙声で訴えるのは、ずっと心の中に溜め込んでた想い。