「参ったな」
そう言って、もう一度、私の前まで戻ってきた七倉さんは、
「これ以上、雛子ちゃんといると、我慢できなくなるから引き止めないで」
そう言って、ぷにっと私のほっぺを摘まんだ。
「我慢、ですか?」
七倉さんが言ってる意味が、分からない。
七倉さんは、私の反対のほっぺも摘まむと、
「これ以上、ここにいたら。雛子ちゃんの全部が欲しくなるって言ってるんだよ」
困った顔の七倉さんに、私の胸がドクンと鳴る。
ほっぺから手を放した七倉さんは、
「メリークリスマス」
そう言って、今度こそ、背中を向けて立ち去った。
私は七倉さんが摘まんだ頬を撫でながら、小さくなる七倉さんの背中に向かって呟いた。
「メリークリスマス」
来年の今日も、あなたに会えますように。
聖なる時計は、夜の12時を指していた。
―end―


