七倉さんの言葉に、大きく首を横に振る。
「こんな大人な雰囲気のレストランに連れてきてもらって。目の前には、大好きな七倉さんがいて。嬉しくないわけ、ないじゃないですか」
ナイフとフォークをお皿に置いて、七倉さんの、強く、透き通った眼を見る。
「ごめんなんて、謝らないでください。私、頑張って、七倉さんに似合う大人の女の人になりますから」
「雛子ちゃんは、そのままでいて」
優しく目を細めて、七倉さんが言った。
「俺に合わせる必要も、無理して早く大人になる必要もない。今度は、ちゃんと俺が、雛子ちゃんに合わせるから。嫌なことや、苦手なことは教えて」
いったん言葉を切った七倉さんの、
「今度は焼き肉に行こうか?」
って質問に、目を輝かせて大きく頷くと、
私の反応の速さに、七倉さんが吹き出した。
「そんな素直な雛子ちゃんが好きだよ」
最高の笑顔を浮かべる七倉さん。
不意打ちの、眩しい笑顔に、全身の血が沸騰したみたいに熱くなる。
ドキドキと騒ぐ鼓動。
熱くなった頬を両手で押さえると、
「照れ屋の雛子ちゃんも、大好きだよ」
七倉さんは、嬉しそうに目を細めて言った後、身を乗り出して、テーブル越しにキスをした。


