「オーディションに勝ち残って、ハルと同じグループでデビューできるって決まった時は、嬉しかったわ。
事務所からグループ内恋愛は禁止だって言われた。悲しかったけど、誰よりもハルの近くで、ハルと共に夢を追いかける日々は、最高に幸せだった」
懐かしむように、目を細める梨央の顔が険しくなる。
「なのに、あの子が!」
梨央の言葉に、
「それって結局、お前自身がハルの女でいるよりも、Soul Loversの神尾梨央でいることを選んだだけじゃねーか」
そう言うと、梨央は気が抜けたみたいに、ふっと笑った。
「その通りね。私はSoul Loversを捨てられない。何より、こんな私でもかっこいいって、大好きだって応援してくれるファンがいる。捨てられるわけ、ないじゃない」
くっきりと縁取られた大きな目は、まるで炎を湛えたみたいに熱い。
ファンからはクールビューティーなんて言われてるけど、俺から言わせりゃ、炎の女神だ。