「たくさん傷つけて、たくさん悲しい思いをさせてごめん。我儘な俺で、本当にごめん」
黒く澄んだ瞳は、私を見つめる。
「『もう来ないでほしい』なんて、雛子ちゃんに言うべきじゃなかった。マスコミに何を言われようと、世間がどう思おうと、雛子ちゃんの手を放しちゃいけなかったんだ」
七倉さんは、大きな手で私の手を包む。
「なんて言われようとも、俺が全部覆す。七倉ハルに、誰も文句が言えないような、そんな存在になるって約束する。
だから……俺の我儘だって十分分かっているけど、今度の俺の復活ライブ。雛子ちゃんに見ていてほしい」
一度握った手を放した七倉さんは、ポケットからチケットを出した。
「もう一度、俺の側にいてほしい。返事は、このライブの後でいいから」
七倉さんはそう言うと、元来た道を帰って行く。
私は大きく息を吸った。
「応援します!私、誰よりも大きな声で、七倉さんを応援しますから!!」
振り返った七倉さんは、目を細めて、やさしく微笑んだ。


