そんな時、いつも俺を奮い立たせるようにやって来るのが、



「お兄様が来てやったぞ!!」



マッシーさんだった。



力いっぱい病室のドアを開けて、大声でそう言ったマッシーさんは、



その日、テレビに自分が持ってきたビデオカメラを繋いだ。



「雛子のテニスの試合だ」



そう言って、画面に流されたのは、懸命に小さなボールを追う雛子ちゃんの姿で、



「あいつはがむしゃらに踏ん張ってる。くじけそうになっても。もう駄目だって崩れそうになっても。歯を食いしばって、前に進んでる」



食い入るように画面の中の雛子ちゃんを目で追う俺に、マッシーさんが言う。



「お前の考えてることぐらい、俺にも分かる。雛子を傷つけたくない。そう思って、あいつを突き放したんだろう?」



マッシーさんは、逃がさねーぞって目で俺を見た。