地区大会を勝ち抜いて、ブロック大会も勝ち抜き、都大会に出場した。
いつもは、この都大会の途中で負けてしまうけど、今回は負けない。
押され気味の試合でも、歯を食いしばって諦めなかった。
懸命に小さなボールを追う。
そんな私を、リコピン星人に飽きたのか、私服姿の兄がビデオカメラで撮っていた。
そして都の代表として、全国大会への出場が決まった。
「おめでとう、真下さん」
菅君が、私に言った。
「かっこよかったよ」
にっこりと、色素の薄い瞳を細めて笑う菅君。
「来てたんだ」
「どうしても真下さんに会いたくて。真下さんのテニスが見たくて」
『雛子ちゃんのテニスが見たい』
そう言った、七倉さんの言葉を思い出す。
「正直、俺じゃ駄目かな?ってへこんでた。けど今日の真下さんを見て、改めて思った。例え相手が七倉ハルでも、諦めたくないって」
緊張したように、大きく息を吸った菅君は、
「真下さんが好きだ!」
濁りのない大きな瞳で、きっぱりとそう言った。
揺るがない菅君とは反対に、七倉さんの名前に、私は動揺が隠せないでいた。


