急に強くなった風に、身震いする。
七倉さんと出会ったのは春。季節は巡って、冬が近づいていた。
寒そうに手を擦り合わせる私の肩に、菅君がウインドブレーカーをかけてくれた。
「風邪引いちゃうよ」
そう言って、ウインドブレーカーを脱ごうとする私を菅君が制した。
都内に住む菅君とは、駅で別れたけど、
正直、それまでの道のりで、何を話したのか覚えていない。
隣にいるのは、話しているのは菅君なのに、
私の目は、耳は、心は、
七倉さんを探してた。
別れ際、ウインドブレーカーを返そうとした私に、
「明日でいい。今日は真下さんと一緒で楽しかった。またね」
菅君はそう言って、来た道を走っていった。
もしかしたら菅君の家は反対方向で、私をここまで送ってくれたのかな?
そう思うと、申し訳なく感じた。


