「え?それだけ?」 拍子抜けしたように答える。 と同時にマッシーさんらしいなと思って、くすぐったいような感情がわきあがる。 「この店で、目力半端ないイケメンって言ったら、あなたしかいないから」 無表情のまま答えた彼女のしゃべり方が、マッシーさんそっくりで、思わず声を出して笑う。 そんな俺に怪訝そうに目を細めたその子は、 「じゃあ、失礼します」 そう言って、俺に背を向けた。 背中で揺れる黒髪を見送りながら、彼女の意志の強そうな眼差しが、やけに胸に残った。