Soul Loversの世界進出は順調で、メンバーは北米に続いて、南米、ヨーロッパ、アジア。世界中でプロモーションを行った。
その様子は、日本のワイドショーにも取り上げられて。
各国のファンから熱い歓迎を受ける4人を見るたびに、七倉さんへの罪悪感が膨らんだ。
それでも平気な振りをして七倉さんの病室に通ったのは、
逃げちゃいけないって責任感と、
竜也さんの「ハルは任せたよ」って言葉のお陰だった。
七倉さんは相変わらず痛々しい姿だけれど、順調に回復していた。
手も足も、心配だった顔の傷も、綺麗に治るらしい。
メンバー4人の顔と名前が、世界中でどんどん広まって。七倉さんの中に焦りとか、もどかしさとか、ないわけがないのに、
七倉さんは、私の前で、そんな素振りは全然見せなかった。
「早く元気になって、雛子ちゃんのテニスがみたいな」
明るく笑う七倉さんに、胸がずきずき痛む。
私は丸椅子に座って、持ってきたりんごの皮を剥いていた。
暗くならないように、できるだけ明るい声で「はい」と返事をすると、七倉さんは、
「約束だよ」
目を輝かせて嬉しそうに、そう言った。


