キス? そう思って、身構えるように目をぎゅっと閉じると、 七倉さんは、私の鼻を指でツンと突いた。 「帰ろう。ごめんね。今から仕事なんだ」 私の手を掴んで、その場から立ち上がらせた七倉さんは、 「手は、握らせて」 そう言って、手を繋いだまま車に戻った。 大きくて温かい七倉さんの手に、ドキドキした。