「はぁー?急になに言ってんの、この子?見せ付けたいわけ?ハルもなに赤くなってんのよ!!」



呆れる梨央さん。



「ここは謝る。すまん。バカな妹で」



何故か兄が梨央さんに頭を下げた。



七倉さんは動揺したように鼻の頭を指で擦ると、



「参ったな」



そう呟いた。



この場が変な空気になったのを、どうにかしなきゃと、私は口を開いた。



「だって……付き合うって、お互いが好き同士じゃなきゃ駄目でしょ?七倉さんは、ちゃんと『好き』を伝えてくれた。けど私は、まだ七倉さんにちゃんと『好き』を伝えてないって気づいた。だから言わなきゃって思って……」



一生懸命に、言葉を搾り出すように説明すると、



「嬉しいよ、雛子ちゃん」



満面の笑みで、七倉さんがそう言った。








「バカみたい。帰る」








七倉さんの笑顔にドキドキして、真っ赤になる私を見た梨央さんは、「やってられないわ」と言いながら、コーギーを出た。