二人はやがて、どちらからとも無く笑い出した。
良かった。
ちゃんと仲直りできたみたい。
「でも……嬉しい、ナ。手話、覚えてくれたんだね」
「今はこれくらいしか分かんないけど……絶対、全部出来るようになるから!」
「ふふ。アリガト」
叶海ちゃんは包み込むように透輝くんの手を握った。
叶海ちゃんのほわんとした笑顔と手の温度で、透輝くんは真っ赤になってる。
「あっと、で、で、これなんだけど……」
「え……映画、の、チケット?」
照れ隠しのように、ポケットから二枚の紙を出してきた。
叶海ちゃんは気まずそうな顔でうつむく。
「あ、わたし……音ガ……」
「うん。だからこれ、無声映画。音も声もない、映像だけのやつ」
「!」
「今度、一緒に行かない?」
「う、ウン……!行く!行きたい!行ってみたい!」