まぁ、早く謝りたいってのは良いことだけど。

私はブランコから降りて、全員の視線をこっちに向けた。

「分かった。ちゃんと説明するよ。けど、その前に知っておいてほしい事があるの」

「何ですか?大事な事ですか?」

「うん。すっごく大事」

叶海ちゃんが透輝くんを引っぱたいた原因は、もちろんプレゼント。

そしてそのプレゼントは、CDとカチューシャ。

そこから導き出される事は───……





「彼女は、耳が聞こえないんだ」





「え……」

透輝くんが目を丸くする。

「先天性だか後天性だかは分かんないし、完全に聞こえてない訳じゃないと思うけど、とにかく彼女は聴覚障害をもってる。そんな子にCDなんてあげたら、そりゃ知らなかったとはいえ叩かれるよ」

ただの嫌味だもん。

図書館のCDコーナーを羨ましそうに見てたのは、きっと『自分も綺麗な音楽が聞けたらな』っていう憧れ。