「お、おぉ……なんか、良いのかな、これ」

「大丈夫やろか……法に触れとらん?」

「大丈夫大丈夫。念の為生徒の情報とか一時的に弄ったから平気」

「いや、そうやなくて、これ普通に犯罪とちゃうのん?」

「バレなきゃ犯罪じゃないって、なんか偉い誰かが言ってたから良いんだよ」

「誰かって誰よ?!」

いつもは高い位置にツインテールにしてる髪をポニーテールにした美色と、伊達眼鏡の綺鳴、そして美色と逆に普段下ろしてる髪をツインテールにした私、時音。

全員、とあるツテで用意した如月高校の制服を着てる。

そう。ここは如月高校の校舎内。

不自然にならないようにそれぞれ着こなしを変えてると、本当に周りに馴染んでる。

この日は偶然にも祭日で私たちの通う玲瓏学園は休みだけど、如月高校は何かの振替で学校だった。

「むしろコソコソしてる方がおかしいって。怪しまれるよ。もっと堂々と……ん」

廊下を歩いてると、前から先生が来た。

ダサい青ジャージに身を包んだ、いかにも生徒指導の先生っぽい人。

綺鳴と美色がビビって固まる。

私は物怖じせずに声をかけた。

「あ、こんにちは。松林(まつばやし)先生」

「こんにちは……ん、ん?君、うちの生徒か?なんか見覚えが無いんだが……」