おぉ……タイミングが良いな。

美色がやった!と言わんばかりにすぐさま話に飛びついた。

「で?で?相手の子はどんな子なの?」

「えっ、えーと、相手は他校の女の子なんです。オレと同じ高校一年生で……所属してる図書委員会の活動で、二ヶ月くらい前にその子の学校と一緒に市立の図書館で仕事してる時に知り合ったんです」

タジタジになりながらも、透輝くんは楽しそうに語った。

「口数が少なくて大人しいけど、本を読んでる時の真剣な顔とか、頑張って重い荷物を運んでる健気なところとかが可愛くて綺麗で……」

よっぽど彼女の事が好きなんだろう。

話してる間、ずっと顔が緩みきって幸せそうだ。

「好きな本のジャンルが同じで、気が合って、連絡先とか交換して、順調な感じだったんです。……でも、この前彼女の誕生日にプレゼントを送ったら、何故か盛大にほっぺ引っぱたかれちゃって」

「それで、ほっぺに湿布貼ってる訳ね?」

「はい……」

透輝くんは痛そうにほっぺをさすった。

「どうしてなんだか分からないんです。彼女、何も教えてくれないし……」

「僕も一緒に考えたんだけど、分かんないんだ。姉様、来栖さん、国吉さん、考えるの手伝ってくれませんか?」

「ん」

美色が手のひらを見せる。

『報酬は?』という事だ。