考え方がちょっとアレだけど、一応は優しい、のかな?

「でもなぁ。犯人そこにおるのにすぐ行けないっちゅうんが、ちっとばかし悔しいなぁ」

綺鳴が不機嫌そうに頬に手を当てる。

まぁ今はあの子も応援団部の活動中だからね。

悪い事してるとはいえ、試合の盛り上がりをぶち壊すような空気にはしたくない。

「まぁ良いじゃん、キナリん。これで一応は解決したんだし。レモンパイ貰えるよ」

「……ケッ」

バツが悪そうに涼村くんはそっぽを向いた。

「ふふーん!この前言った言葉、ぜーんぶ撤回して貰うからね!あ、レモンケーキの件も忘れないでよ!」

「はいはい、わーったよ!」

ふふふ、いい気味だわ!!

我が相談部の勝利を祝うように、白球が青空に向かって飛んだ。

ホームランだ!!




野球部と相談部、両方の勝利の余韻に浸る中、私は涼村くんの独り言に気づく事が出来なかった。