「来栖はなんでンなもん持ってんだよ……まあ借りるけどよ」

涼村くんはぶっきらぼうにひったくるようにして受け取り、覗き込んだ。



「あ!!いた!!あいつ!!左から二番目の短髪女!!」



今度は私がオペラグラスをひったくって取り返し、目に当てる。

左から二番目の、ショートヘアの女の子が財布泥棒らしい。

なるほど、結構色黒でボーイッシュな感じ。

学ランが似合いすぎて、言われなきゃ分かんないくらい男の子みたい。

オペラグラスを貸して確認した綺鳴と美色も納得の声を上げた。

「でも、なんで体育館の中で見つかんなかったんやろ?」

「応援団部は体育館裏で練習してるんだよ。涼村くんは『体育館の方に行った』って言っただけで『体育館に入った』とは言ってなかったし」

「ふん、あとは取っ捕まえるだけだな」

涼村くんがパキパキと指を鳴らす。

「物騒な言い方ね。もうちょっと優しくなれないの?」

「あ?充分優しいだろうが。財布盗られた被害者達の恨みを晴らしてやってんだぞ?」

「……」

うーん、涼村くんのこれはツンデレなの?馬鹿なの?必殺仕事人のつもり?