「せや、よう見てみ。この試合会場を」

会場……

お揃いのタオルとメガホンを持った観客、吹奏楽部、野球部員、審判と、それから……

「あ!」

見つけた。

通路の方で長いハチマキをなびかせながら腕を振る団体。




「「そっか、応援団部!!」」




私と美色は思わず顔を見合わせた。

応援団部なら、女の子が学ランを着ても何もおかしくはない。

現に、応援団部は廃部寸前で人数が七人ほどしかいない。

それにその中でも女の子は二、三人だから、後はこの中から探せば解決だ!

「こん中から見つけるなら、簡単でっしゃろ?な、涼村くん?」

どうして自分が呼ばれた上に連れてこられたのかよく分かってない涼村くんが、パッキンアイスをかじりながら綺鳴を一瞥する。

暑いのとめんどくさいのとで、珍しく口数が少ない。

危うく存在を忘れそうだった。

「んー……でもこっからだと遠いな。見えねえ」

「私のオペラグラスで双眼鏡の代用効くかな?」