他校の学ラン着た男子なら、目立っちゃうからすぐ校外に出るだろうからね。

けど……

「いや、逆。こっち」

涼村くんが指したのは、体育館側だった。

「え?じゃ、その時体育館にいた人を探せば良いんじゃないの?」

渡辺くんなんて、サッカー部のエースなんだから走れば追いついたんじゃない?

「いなかったんだよ。その日、体育館には女子しかいなかった」

「女子バトミントン部と、チアリーディング部と、新体操部だけだったよ。もちろん、部員は全員女の子」

えぇー……

じゃぁ、財布泥棒は消えたって事?

こりゃ、レモンパイとムカついた勢いで受けちゃった依頼だけど、かなり難航しそうだぞ〜?

「……ふん」

考え込んでいると、馬鹿にしたような目と視線が合った。

もちろん、それは涼村くんの目。

無理なのか?やっぱ大したことなかったんだな……

そう言ってそうな目。

目は口ほどにものを言うわ。

これはやっぱり、何が何でも解決させないと……!!

「タイム?どしたの?……燃えてるよ?」

美色が心配そうに私の顔をのぞき込む。