財布泥棒の事件の発端は、文系学部の一年生のクラスだった。

男子生徒の財布が、忽然と無くなったらしい。

彼はしっかりスクールバッグに入れていたのは間違いないと言う。

でも、クラスメイトは誰も彼の財布を持っていなかった。

結局その件は先生に任せてうやむやになっていたが、その一週間後、また別のクラスで財布が無くなった。

今度は二年生の女子生徒。

絶対部活用のエナメルバッグに入れていたと、彼女は語る。

でも、クラスメイトも部活の人間も、誰も持っていなかった。

その次に三年生のクラスで、次にまた二年生、学年関係無くランダムで盗まれていく。

生徒だけでなく先生にまで、被害が及んでいるという。

しかも最初は約一週間おきだったのに、今ではほぼ毎日、文系学部の誰かの財布が無くなっている。

犯人は男なのか女なのか、大人なのか子供なのか、学校関係者なのか違うのか、全く見当がつかず、皆困っている。