理系学部所属の綺鳴がいてくれれば、捜査の幅も広がる。

そんなにかしこまる必要ないのに……

「なんや、この辺じゃ有名な情報屋コンビに仲間入りしたいーなんて言うたら、難しい試験とか出されると思うてたのに」

気ぃ抜けるわー、と言いつつおかわりの苺タルトをフォークで突き刺す綺鳴。

いや、私達の事なんだと思ってるの……?

趣味でやってるようなものだから、そんなに真面目に考えなくても良いのに。

「それなら、あだ名考えないとね!」

美色が唐突に言い出した。

「あだ名?『タイム』、『ミィ』みたいな?それ恒例行事なん?」

「違うけど、相談部の中で綺鳴だけってのも仲間外れみたいかなって。何が良い?」

「うち、特にあだ名とか無いねんけど……二人決めてええよ」

「それなら……『キナリん』はどう?」

私が提案する。

「いや、綺鳴ってさ、『綺麗に鳴る』って書く綺麗な名前だから、私は原型残したいんだよね」

私の名前、『時音(ときね)』は発音がカッチリした感じだから、『美色(みいろ)』とか『綺鳴(きなり)』みたいな柔らかい発音の名前が羨ましい。

だから、発音はほぼ変わらないようにしたいんだけど……

「キナリんなぁ……ふふ、なんや、友達みたいで嬉しいわぁ」