ここは、綺鳴の家である姫宮グループが経営してるケーキバイキングのお店。

依頼を受けた時に言われた報酬なんだけど、ほぼ綺鳴が丸く収めたからちょっと申し訳ない気分。

完全に貸切にしてて、せっかくの広い店内には客が私達しかいなくて、ガランとしてる。

ピンクやリボンやレースで飾られたドールハウスみたいな店内は美色の好みどストライクだったみたいで、さっきから手や口よりも首が動いてる。

綺鳴が店員さん(……ボーイさんっていうのかな?)に注文する時、『任せるわ』って頼んだ時は、やっぱお嬢様なんだと思い知らされた。

「で、弥彦くんと燕くんは今どんな感じなの?」

手始めのショートケーキを食べ終わり、お代わりのフルーツロールケーキに取り掛かる美色。

それは私も気になってた。

「普通やよ?ただ、デートする時なんか、カップル限定割引みたいなのある時、ちょっと困るみたいやけど」

あー、そういった方面では、同性カップルはダメって言われちゃうもんね。

やっぱり、どれだけ周りの人間が認めても、そういった方面ではやりづらいのかな……

「大抵そないな時は燕が女装するんやけど、これがまた可愛らしゅうてな〜♡」

「「……」」

これは弟に協力してるのか、単なる綺鳴の趣味なのか。

どう返せば良いのか迷う。