「燕」

綺鳴がドア越しに弟を呼ぶ。

「姉様?……入って良いよ」

了解を得て、ドアノブを回して足を踏み入れる。

整理が行き届き、綺麗に片付いた部屋。

窓の一部に嵌め込まれたステンドグラスから差し込む光が美しい。

奥の勉強机の前にある椅子に、燕は姿勢良く座っていた。

「どうしたの?お客様来てたんじゃないの?」

「あぁ、さっき帰ったから、大丈夫やよ」

綺鳴は燕の横に置いてあった木製の椅子に腰かける。

「あんな、姉様、燕に真面目な話があるんよ」

「どうしたの?そんなに改まって」

燕はきょとんと目を丸くする。




「燕、好きな人おるん?」