「先生!!もっと早く飛ばしてよ!!あたし達の味方で、暇してて、車運転出来る人、先生しかいないんだから!!」

美色が後部座席から身を乗り出して、運転席で珍しく焦りの表情をしてる石内先生を急かす。

「うるせぇ無茶言うな国吉!!教師としてスピード違反で捕まる訳にゃいかねーんだよ!!だいたいこれ、レンタカーだぞ!!事故ったらどーすんだよ!!」

「そんなんどーでもええやろ!早うしてくれはります?!ほんま使えん人やなぁ。大人として教師として人間として、どうなん?クズとしか言い様が無いわ」

珍しく綺鳴までうるさい。

辛辣な罵倒がいつもより鋭利になってる。

「つーか、なんでオレこんなに文句言われて扱き使われてる訳?!オレ何かしたか?!」

「逆であります!何もしてなさすぎるからでありますよ!現に小生も綺鳴殿も珀成殿も、貴殿が顧問だとさっき知りましたし!こういう時に仕事せずにいつやるのですか!今でしょ!」

「ネタ古っ!……じゃなくて、お前らが勝手に事件引き受けて勝手に解決してるから、オレの出る幕がねぇんだよ!!つーか運転に集中出来ねーから静かに座ってろっての!」

絢太もペシペシと玩具の警棒で叩いてる。

……俺だって、頭抱えて叫び出したいくらいイラついてるし、犯人に対して殺意すらある。

けど、焦った所であいつが助かる保証はどこにも無いんだ。

「クニ、ヒメ、タマ。喧嘩してる場合じゃねーだろ!とりあえず座れよ。先生が運転ミスって事故ったらマジで、それこそ終わりだぞ」