この人、もしかして意外とすごい?

「あ、あの、颯馬さん!ありがとうございまし……」

「うわ、やっべ!コーヒーこぼしたぁ」

「何やってんだ!ガキかお前は!!」

「さーせぇーん」

……前言撤回。

やっぱ子供っぽいわ、この人。

さっきのはきっと偶然ね。

なんか調子狂うなぁ……

「とにかく、その『きたうみぞいのだいさんそうこ』……『北海沿いの第三倉庫』へ行けばいいんでありますか?」

絢太が聞いた。

「そうなるね。空港に着いたら速攻でタクシーとか拾って……いや、どんな人に攫われたか分かんないし、近くの交番とか寄ってもうちょっと応援を頼んだ方がいいかな?あと、なんか武器になりそうなものとか調達……アヤくんはタイムの顔まだ知らないから単独行動すると見つけられないか……」

「いなくなっちゃった友達の事、そんなに心配?」

振り返ると颯馬さんが子供みたいに後ろの席から身を乗り出して笑ってた。

「そりゃー……心配に決まってますよ。十年以上ずっといっしょだったんだもん」

ずっと一緒にいて、一番の友達で、相棒だった。

隣にいるのが当たり前だった。

時音のいないあたしなんて、苺の無いショートケーキとおんなじだ。