利害が一致すると察したのか、須永警部も口を開いた。

「とある犯罪組織が女の子を一人誘拐し、その上女の子を拉致してた倉庫を燃やして、女の子を攫ったまま逃亡したんだ。しばらく居座ってたみてーだから、倉庫が燃えてさえなければ色々証拠は残ってたんだろーけど。 全部燃えてるから、捜査は超難航してんだ」

「その女の子が来栖殿……という訳ではないようでありますな?」

「あぁ、違う。誘拐された女の子は未だ行方不明。お前らんとこの時音とかいう子は犯罪組織の奴に軽い暴行を加えられたが、その場で解放されてる」

「軽い暴行って……!」

「……時音ちゃんの記憶の事聞いた後なら多方察しがつくと思うけど、頭部に受けた怪我が原因だと思われる」

珀成、絢太、綺鳴が一斉にこっちを見る。

前に時音のお母さんが言ってた。

「う、うん……海馬って所とかに問題があるみたい」

「じゃ、タイムちゃんは何か知ってるかもって事やろか」

「だから記憶を消された……ってとこか」

珀成がギリギリと悔しげに歯ぎしりする。

「その事件が解決出来たら、タイムの居場所も分かりそうでありますな。榊刑事、何か証拠等は無いのでありますか?」

「ん?あるっちゃあるよー?ちょっと待っ……ぼへっ」

「馬鹿か、あんまり一般人に教えるな!」