「お、おぉ……?」

あまりにも唐突な対応に、石内先生がたじろぐ。

「あ!ミィちゃん、先生、こっちやこっち!」

奥の方から聞き慣れた声が聞こえてきた。

この中途半端なのんびりした京都弁は、もちろん彼女。

「ちょっとキナリん!どゆ事?!何なのこれ?!」

あたしは若干の怒りを覚えながら、呑気にベンチに腰掛けて高そうな抹茶プリンを食べてる綺鳴の元へ歩いた。

突然セレブ空間に突っ込まれて混乱しかけてたけど、冷静に考えればあたし達の知り合いでこんな事が出来るのは姫宮グループのお嬢様である綺鳴しかいない。

あとさっき思い出したけど、あたし達の荷物を持って行ったのは綺鳴の家に行った時に会った執事さんだ。

「いちいち時間合わせて飛行機乗るより、うちんちの飛行機乗ってしもた方が早いやろ。手配しといたわ」

「いや、いきなり過ぎるでしょ……」

「堪忍なー、けど、そないに普通の飛行機と変わらんよ?緊張する事なんかあらへんえ」

あたしはこの豪華空間にいる時点で緊張が止まらないんですけど。

「涼村くんも玉木くんもいてはるし、はよ行こか。ま、言うても自家用飛行機やから時間関係無いねんけどな」

綺鳴がスプーンで示した方向には、ボストンバッグを抱えた珀成と絢太がいた。