「良いか、絶対言うなよ!忘れろ!!忘れろ!!」

金属バットがホームランでも打てそうなくらいの勢いで、容赦なく時音の頭に直撃する。


ガッ!ガッ!


最初は痛くて目の前がチカチカしたが、段々と脳内麻薬が分泌されたのか、もう痛みを感じられない。



……ファンファンファン……


ドタドタドタッ!


パトカーのサイレンと、警察の人達が乗り込んでくる足音が聞こえてきた。

「おい、そんぐらいで良いだろ!もう多分こいつ死んだよ。行こうぜ」

「チッ。手間かけさせやがって……」

男は舌打ちして、拘束された少女を小脇に抱えて逃げた。

時音は震える肩を抑えて倒れ込む事しか出来ない。

すぐに警察の人達に時音は保護された。



―――言っちゃダメ。

言っちゃいけない。

口にしたら、死んじゃう。

話したら、殺される。