美色の質問は大体予測済みだ。もう既に考えはある。

私は探偵のように人差し指を上に向け、クルクルと回した。

「園芸部は部員数少ないらしいから、そのへん緩いだろうし、石内先生に事情を話せばどうにかしてくれるんじゃない?それでもダメなら、芙雨(ふう)ちゃんに頼もう」

「なるほど、タイム、あったま良い~」

下野 芙雨(しもの ふう)ちゃんは、私達と同じクラス、二年七組の園芸部員。

首の後ろで一つに結んだ三つ編みと、鼻のあたりにあるソバカスが印象的なクラスメイトの女の子。

髪が元々赤茶色だから、何赤毛のアンみたいな感じの娘。

優しくて大草原のような広い心の持ち主だから、きっと快く承諾してくれる。

「ミィ、放課後の予定は?」

「何もないよ!タイムも?」

「うん、二人で行った方が良いからね。一人だと何か見逃すかもしれないから」

「そっかぁ」

新聞部(仮)初仕事で、何だかいつもよりテンションが上がる。

ふっふっふ。

もう気分は完全に名探偵だ。

頭の中でイメージを膨らませる。

鹿撃ち帽を被り、煙管(キセル)を咥えた名探偵ホームズの私と、スーツを着た助手ワトソンの美色。

うん、なんか良い感じ!これぞ新聞部(仮)の門出に相応しい!