「……ってゆーか、床鴒島におるんが分かってるなら、行ってから探せばようへん?はよ見つけんと」

綺鳴の一言で、皆ハッとした。

「そ、それもそうね!けど、どうしましょ、私外せない用事があって……」

「私も、他の患者さんの診察があるので……」

肝心の大人がもごもごと言い訳みたいに行けない理由を述べてく。

って、響香さんは実の娘が心配じゃないの?

そう思ったけど、それ以上に気になる事があって言えなかった。

あたしはそれを皆に聞こえるように言う。

「ねぇ、おかしいよ。最初の暗号は記憶力が良いあたしにしか解けないはず。なのにタイムはあたしに向けたみたいに書いてる」

記憶が戻ってないなら、あたしの事もあたしの記憶力の事も覚えてない。

それに、どうして攫われる間際に自分の行く場所を暗号にしてまで教えられたの?

そこがおかしい。

どうしても気になる。

「んなの、来栖本人にしか分かんねーだろ。とにかくあいつを見つけるのが優先だ。明日は創立記念日と休日が重なって日にちはだいぶあるけど……姫宮、お前んとこの力で交通費とかどうにか出来ないか?」

珀成がテキパキと予定を立てようとしてる。

珍しい。

「うちは構へんやけど……やけに積極的で計画的やね、涼村くん」

「え、いや、別に……同じ相談部だし」