次の日。

さすがに授業をサボって燕くんの様子を見に行くわけにもいかないから、尾行するのは放課後になった。

朝の登校途中にしようかとも思ったけど、いつも弥彦くんと一緒に自転車で登校してると綺鳴に聞いたから、徒歩で登校する私達には追えないと踏んで、放課後だけの尾行になったのだ。

姫宮グループの跡取り息子だから、てっきりリムジンとかヘリコプターかと思ってたけど、意外と庶民的だった。

そういえば、姫宮グループの人間だってことは、おおっぴらにはしてないって言ってたっけ。

朝早くから一旦作戦を練る為、HR前に部室に寄って昨日のように私と美色は部室で椅子に腰掛けていた。

昨日、綺鳴が座ってた場所に今日は私が座り、二人で話しやすいように向かい合わせになる。

「それで、ケーキバイキングに釣られて引き受けちゃったけど、まずはどーする?」

口の中に苺味のキャンディを放り込んで、美色が尋ねた。

私も板チョコをパキッと噛んで、少し考える。

考え事をする時は、甘い物が一番。

糖分が程良く脳に行き渡って、良い感じ。

「燕くんは園芸部に入ってるって聞いたからね、見学と称して見に行こうか」

「今日行くの?顧問の先生とか、すぐに許可してくれるかな?」