それに、よく見ると外壁には足をかけられそうな凹凸があるから、少し頑張れば外へ出られると言えば出られる。

時音が自分で外へ出たという絢太の推理は、もしかしたら意外と当たってるかもしれない。

でも、そんな事って……

「とにかく、その来栖本人の居場所を探した方が良くないか?スマホのGPSとかで……」

「何度かやってるんだけど、電波の悪い所にいるみたいなのよ。さっきから五秒ごとに居場所が変わってるの。さっきはラスベガス、次はパリ、その次がロンドン、次が北京、リオデジャネイロ……あ、今福岡から北海道になったわ」

ドラ○もんでもいない限り、短時間でそんな瞬間移動みたいな技が出来るわけない。

磁石の近くに方位磁針を置いたみたいに、ポンコツになってるんだ。

「後は防犯カメラの映像くらいしかねー……ん?」

珀成の足元でカサリと音がした。

ノートの一ページを破って半分に折ったものだ。

珀成はそれを拾って広げた。

あたし達相談部は四方から覗き込む。

「なんだ、これ……」