「……それで、国吉殿抜きでの話とは?」

部室のドアが完全に閉まったのを確認すると、玉木 絢太は口を開いた。

「あら、バレとったんかいな」

てへっと舌を出す綺鳴。

なかなかにあざとさとウザさを感じさせる。

「不自然過ぎましたからね、この流れ。流石に小生も分かるであります。何か分かった事があるんですか?」

「あぁ、分かったんだ。俺もついさっき姫宮に聞いて納得した」

珀成はめんどくせーからさっさと話せと言わんばかりに、疲れた視線を綺鳴に投げつける。

はいはいとその視線を受け止め、綺鳴は語りだした。

「玉木くんが言うてた『餡子みたいな甘味』いうんは、ほんまに餡子やったら、きっと騎馬戦の前にやってたパン食い競争に関連あると思うんよ」

パン食い競争なら……餡パンを使用する。

絢太は納得するようにほうと息を吐いた。

「なるほど。運動会に和菓子なんてそうそう食べないでありますからね!」

「んで俺、姫宮にそれ聞いて当時のプログラムとか走った順番とか、旗本が持ってきた資料で見たんだけどさ……」

珀成のニヤリとした笑いが、結果を物語っているようだ。

笑ってるという事は、面白い結末なのか、珀成の事だから悲しい結末を面白がってるだけなのか……

表情からは判断しがたい。