「女子……女子……」

その目は真剣そのもの。

ドッドッと鼓動が早いのが、地震みたいに伝わってきそうだ。

「ねぇ、そんなにその子の事、好きなの?顔も名前も分かんないのに」

見ず知らずの人間に対して、こんなに真剣になれちゃうんだ。

あたしだったら……なんか気まずくて、黒歴史扱いして、忘れたいって思っちゃうかもしれない。

「……事故とはいえ女性の初めてを奪うなど、言語道断であります。それに……恥ずかしながら小生、女性の扱いは不得意で目を合わせるのが苦手で、刷り込みのようなものなのか何となく惹かれるものがありましてな……」

ふにゃっと照れたように頬をかく玉木くんは、なんだか告白する直前の人みたい。

緊張と不安と楽しみが混ざった顔してる。

へぇ、そんなに思い入れがあるんだ。

あれ?

「でもあたし、ずっと目合ってるよね?」

冊子を捲っている玉木くんの真横にあたしはいる。

相談を受けた時からずっと、あたしと玉木くんは目が合ってる。

「え?……うぇえぁ?!」

玉木くんは変な声を出しながら後ずさった。

女子に近寄る事にあんまり免疫がなかったのか、UMAにでも遭遇したみたいなリアクション。

というか、今更?無意識だったの?