「文系学部一年二組、バスケ部の畠山 弥彦(はたけやま やひこ)くん。燕が小学生からの友達でな、今も相棒って言うてもええくらい仲良うしててん。あいにく今は写真持ってへんねんけど、結構男前な子やで」

「ほー」

「なるほど。綺鳴が私達に依頼したいのは、燕くんの様子がおかしくなった理由を探すってことで良いのね?」

綺鳴と目を合わせ、最後の確認をした。

神様に祈るようにして手を合わせる綺鳴。

「せや!お願い出来る?うちが尾行とかなんかしたら、燕にすぐ気づかれてまうと思うねん!うちの友達とも燕は面識あるから同じやと思うし……二人にしか頼めないんよ!」

「んー、『謝礼』によるかな♡」

美色が意味ありげに人差し指を立て、ウィンクを飛ばす。

そう。私達は、『謝礼』次第で依頼を受けるか決めている。

前に隣のクラスの奴に、駄菓子屋の十円チョコ一個で行方不明になった妹を探して欲しいって言われた時は、断った。

全然対価にならないし、結局その娘はただの反抗期からなった家出で、次の日にはちゃっかり帰ってきてたし。

それが、この活動をやっていく上で二人で決めたルールだ。

そうしないと、きっといつか大損をする。

「あぁ、確か、お金の代わりにお菓子やったよね。うちんとこのメーカーがやってるケーキバイキングでええかな?解決さえしてくれたら好きなだけ食べてええから」

何でもないように、あっさりととんでもないことを言ってくれる綺鳴。