「その中の誰かとキスしてもーたん?」

あらあらとオバサンみたいにニヤつく綺鳴に、玉木くんは頬を赤らめて照れ隠しのように首筋に手を当てた。

「は、はい……恥ずかしながら、小生にとっては初めての出来事でして。もしかしたら相手の初めても奪ってしまったかもしれません。だから、謝る為にも探していただきたいのです」

「え、謝罪だけなん?ほんなら放送部に頼んで学校内に匿名で放送してもろた方がええんちゃうの?」

「そ、それは相手が恥ずかしくて出てきてくれない場合もありますし、それに……あ、あわよくば交際を申し込みたく……思いまして……」

照れた様に頬を掻く玉木くん。

吊り橋効果的なアレで恋に落ちたって事?

唇だけで恋に落ちるって、なんか素敵だけど……

随分とピュアね。中学生かっ。

「つまり、その初キス相手を探して、そいつに謝って、場合によっては責任取って付き合うって事か?」

恋愛モノは不得意らしく、珀成が適当に情報を整理した。

「はい!男として、女性の初物を奪うなど愚行極まりないであります!事故とはいえ、あの方を悲しませないよう努めたいのであります!」

玉木くんは真剣みたい。

目がキラキラしてる。

その相手が超デブスだったり、男だったらどーすんだろーな?とでも言いたげな眼差しでこっちに視線を送る珀成。

いや、あたしに振られても……