「は、はい!タイム……じゃない、時音、あたし達の事名前すら覚えてないみたいで……」

「ふむ……君達はいつから来栖さんとお友達なんだい?」

「えっと、あたしは幼稚園の時からの幼馴染です」

「うちと涼村くんは先月くらいからや。なぁ?」

綺鳴の問いかけに、少し間を開けて涼村くんも頷く。

「そうか……それなら記憶退行や幼児退行の可能性もあるな。またもう少し様子を見てから診察しましょうか。出来れば早めに病室に戻ってください」

和田先生はカルテらしき紙にメモをとってから、響香さんに目配せした。

「は、はい。よろしくお願いします」

「それと、君達。名前を教えてくれないかな?思い出して名前を呟いたら記憶が戻った証だからさ、早めに確認出来るように把握したいんだ」

「あ、はい」

あたし達は整列して名乗った。

「あたし、国吉 美色です!」

「涼村 珀成です」

「うちは姫宮 綺鳴いいます~」

「うん、美色さんに珀成くんに綺鳴さんだね。分かった。ありがとう」

メモを取り終えた和田先生と来栖母娘が去り、あたし達の間に変な空気が流れる。

「タイムちゃんもあんなやし、うちらも帰ろか?」

「そ、そうだね……」

「目覚めたばっかなのに、急に情報無理やり詰め込むのも可哀想だしな」