「ふふ、こちらこそ初めまして。時音の母の来栖 響香(くるす きょうか)です。私が来れない時にお見舞い来てくれたって聞いたわ。ありがとうね」

目を細めて微笑むその顔は、時音によく似てる。

あ、響香さんの娘が時音だから、時音が響香さんに似てるのか。

「ほら時音。お友達、来てくれたわよ」

「…………」

まだとろんとした目で視界にあたしを収めてるけど、まだ表情に元気が無い。

「タイム?大丈夫?眠いの?」

一週間も寝てれば、頭が疲れちゃうよね。

あたしも日曜日とか寝すぎてぼーっとするから、ちょっと分かる。

「あ、そうそう!この前新しく出来たキッシュ専門店でね、苺が乗ってるの買ったんだ!多分そのうちレモンが乗ってるのも新発売すると思うからさ、退院したら一緒に行こ!」

「……………………」

反応、ナシ。

「……タイム~」

むむ、寝ぼけてるとはいえ、スルーは酷いよ~!

返事くらいちょうだいよ!

いつものタイムはどこ行ったの!

ちょっと苛立ちを覚えた時───



「……………………誰」



ズキンとその言葉が胸に刺さる。

嘘、あたしを覚えてない?!

「あ、あたしだよ!ほら、国吉 美色!ミィ!」