非通知?

変な勧誘とかだったらヤダな……

少し迷ってから、あたしは通話ボタンをスライドした。

「はい、もしも……」

『美色ちゃんっっ!!!』

「うわあっ?!」

女の人の酷く慌てた声があたしの耳を劈く勢いで飛び込んできた。

あれ、この声……

「タイム……いや、時音のお母さん?」

時音を大人っぽくしたような姿が頭にぽんと浮かぶ。

昔からお世話になってる人だ。そういえば電話番号登録し忘れてたっけ。

時音のお母さんはひどく慌てた様な声で、噛みそうになりながらあたしに説明した。

『美色ちゃん、今すぐ病院来てくれない?時音が目を覚ましたの!!』

「……えー!!!?」

すぐ行きます、と言って電話を切ると、自分でもビックリするくらいのスピードで荷物をまとめた。

「二人共!タ、タイムが目覚ましたって連絡来た!」

「ほんま!」

「マジか!チョッパヤで準備する!」

「うちんとこの運ちゃん呼ぶから待っとって!」