犬と比べられるのはちょっと酷いかもしれないけど、確かにこの人は騒ぎ過ぎだよね。

冷静になって物事を考えるのが一番だ。ミステリー小説ならああいうすぐ騒ぐ人は一番先に殺されるくらいだし、騒いでいていい事なんて無い。

美術部員達も越水部長のひと睨みですぐ萎縮した。

「……そう言えば、なんやいつの間にか会場綺麗になっとるやんな」

「あぁ、俺が拾っといた」

綺鳴の独り言に津山先輩が不機嫌気味にゴミ箱を指さして言った。

「ちょ、ちょっと!証拠品とかも捨てちゃったんですか?!」

「いや、鼻かんだ汚いティッシュとか、火事ん時に燃えた俺の作品とか、そんぐらい。確実にゴミみたいなやつしか捨ててないから安心しろな」

「だったら、良いですけど……」

「勘弁してくれな。俺ゴミ落ちてんの見てると落ち着かんの」

「ほー、よーた、良いとこあんじゃん。ちょっと見直した。あたしちゃんの中でのよーたの点数、0.5μ点上がった」

「いや微妙すぎんべ!!なんじゃ、一点以下なんかい!!」

また部長副部長のコントが始まった。

空気はちょっと良くなったけど、津山先輩ってばいつの間に……

はぁ。これで証拠品捨てられてたら大変だよ。

これで迷宮入りなんて……

「来栖」

涼村くんに呼ばれ、下を向いてた顔を上げた。

……怖いくらい、今まで見た事無いような満面の笑顔をしてる。





「俺、犯人分かった」