「そー!意味分かんないっしょ?宛先違う訳でもないのに、そっくりそのまま美術部に戻ってくんの。腹立つから今回のはコンクールの受付にわざわざ直接持ってったんだよ」

交通費返して欲しーわーとボヤきながら、当時の事を思い出すようにぽこぽこと怒る越水部長。漫画だったら湯気が出てそうだ。

でも、そんな事ってあるの?

絵には詳しくないから分かんないけど、コンクールとかが終わってから戻るものじゃないの?

参加賞とかも無しにそのまま戻ってくる?

もやもやするなぁ……

「ま、いーけどね。別に。あたしちゃんは天才だから、このくらいで悩んだりなんかしないのだ~。世界はもっともっと広いぞい!」

「部長は黙っとらんかい!あーもー、埒が明かん。ちょっと俺数成吐かせてくる」

「違うって言ってるじゃないですか!何もしてないのに吐くも何も無いでしょ!」

「黙っとらんかい犯人は!」


バコーン!


「よーた、うるっっさい!!あたしちゃんのインスピレーションに支障きたすからやめろ!!!」

越水部長が津山先輩の頭をバインダーでひっぱたいて一喝する。

さっきまでぼんやりしてた人と同じとは思えないくらいの大声に、綺鳴が肩をビクッと震わせた。

「あたしちゃんはもっと平和に終わらせたいんだよ!!仮にカズが犯人だったとしてもね!!よーたはちょっと静かにしてろ。犬の方がまだもうちょっと長く『待て』出来るよ?」

津山先輩は頭を抑えて何も言えなくなってる。