完全に美術部内で谷先輩は四面楚歌だ。

私達相談部も、何も言えない……

「えー、相談部の諸君」

唯一谷先輩を責めなかった越水部長がぽんと私の肩を叩くと、何も言わずに目配せしてきた。

彼が犯人とは思えない、真実を明らかにしてくれって事かな。

気持ちは分かるけど、会場はぐちゃぐちゃだし証拠も出たし、証明のしようがない。

けど、それでも部長はそれで終わりにしたくないみたいだ。

画力が低いってだけで仲間外れなんて、酷い話だもんね。

私達も谷先輩をこのままにさせたくない。

「涼村くん、って言ったかな。君が拾った金平糖、一個だけ?」

「あ、いえ。三個くらいでした」

ふむ、と部長は考えるポーズをとる。

彼女も谷先輩を解放してあげたいんだ。

やっぱりなんだかんだで美術部部長。

優しいな。

「越水部長!最近何か美術部内で変な事とか起こりませんでしたか?」

美色も必死な顔で聞く。

「ん?んー……そーだなー。あたしちゃんの絵が、展覧会とかコンクールに入賞する回数が減った事かな?」

……いや、あのセンスを受け付けない所は少なくないと思うけど……

「あのね。投稿してもすぐ返されちゃうの。何も不備とか無いはずなんだけどね~」

「え、返されるんですか?」