「これが、例の絵か?」

涼村くんが珍しくビクついてる。

予告状に『聖なる断頭台』なんて書かれてたから、どうせ何かの比喩だろうと思ってたけど、越水部長の描いた絵は本当に断頭台の絵だった。

他の子の絵は普通の風景画だったり抽象画だったりポスター絵だったりだから、越水部長のリアルで立体的な絵はかなりの異彩を放ってる。

舞台は中世ヨーロッパっぽい架空の世界みたい。

血がついた刃とか、近くに転がった生首みたいな謎の物体までリアルだ。

高校生の展覧会で飾る絵じゃない……

「『玲瓏学園美術部 三年 越水 晏鶴』ってしっかり書いてあるし、間違いないね……」

美色が入口でもらった作品一覧表と見比べる。

それを覗き込んで綺鳴もちょっと考えるような仕草をとった。

「ちぃと怖いけど、ええ感じの絵とちゃう?燃やすなんてもったいないわァ」

「でしょ?やっぱりそう思いますよね?」

うわ、びっくりした!!

後ろを向くと、いつの間にか谷先輩がいた。

「あれ、先輩……美術部の方行かなくて良いんですか?」

「いやーそれが、はぐれちゃいまして……」

谷先輩は面目ないと言うように頭をかく。