「よーた、代わりに人数確認やっといてちょーよー」

「っ、んで俺だよ!てめぇでやれなァ!」

津山先輩が吠えるけど、なんか野良犬みたいで弱そう。

チラリと涼村くんの方を見やると、傍から見たらこんな感じなのかと気まずそうな顔してた。

……分かったんなら改善しなよ。

「あ、もう僕がやりましたよ」

ふわふわのくせっ毛と眼鏡の人が優しい声をかけてきた。

「谷 数成(たに かずなり)先輩。美術部の縁の下の力持ちって感じの人ね」

すかさず典美の紹介が入る。

こっちに気付くと、谷先輩は物腰柔らかく話しかけてくれた。

「あれ、例の相談部さんですか?お会いできて光栄です!今日はよろしくお願いしますね」

ふわふわと周囲に花が舞ってそうな空気を纏う人だな……後輩にも敬語だし。

女の子っぽいわけじゃないけど、なんか可愛い人。

「おー、あんがとな数成。じゃぁ皆、行くべ」

谷先輩から名簿を預かると、美術部一行は歩を進めて展覧会会場の中に入って行った。

「あ、私も行くわね」

美術部員として来てる典美も後を追った。

私達相談部も、後ろを勝手にくっついていく形で入った。