良く言えば隠れ美人の芸術家、悪く言えば謎のセンスを持つニート、って感じ。

それにしても、自分が描いた絵が燃やされるかもしれないってのに、随分と落ち着いてる。

「部長〜、何も不安とか無いんですか?」

「んー、ほら、あたしちゃんって天才だし?妬まれてもしょーがないよね~。いやぁ可愛い上に天才アーティストの卵なあたしちゃん、マジやばいわ」

彼女は予告状の事なんてものともせずにカラカラと笑う。

ナルシストなんだか気だるげなんだかお気楽なんだか、よく分かんない人だな……

「ほん(ほら)、しっかりしろなァ、部長。後輩らに示しつかねーど」

訛り気味の口調の男の人が、パシンと越水部長の肩を叩く。

絵画というより彫刻とかの方が向いてそうな、色黒でしっかりとした身体付き。

キリッとした目が真面目そうだ。

「副部長の、津山 陽太(つやま ようた)先輩よ」

すかさず典美が紹介する。

「あー、例の相談部?ったく、ほんなんなくたって大丈夫だべな」

相談部を頼りにしてないのか、ただ面倒なだけなのか、津山先輩は私達を一瞥した。

む。ちょっと涼村くんに似てるな。

なんか腹立つ。

越水部長も似た心境なのか、ふざけながら津山先輩の肩に全体重をかけた。