「うわぁーん、コウちゃん離れたぁ…!」

入学式を済ませた後、クラス発表の紙を見てなげく。

「まぁまぁ、
隣のクラスだしいつでも会えるよ、ね?」

「うん…」


しょげながらも、視界の端で高2のクラス表は無いのか探す。

廊下の向かい側に貼ってあるのを見てドキドキしながら覗いた。

「えーっと、どこだろ…あ、あった。」


『水原瞬』


胸がトクンと鳴る。


どんな人なんだろ…?

と思っていたら、上の階からピアノの音が聞こえてきた。

この音、もしかして…!!

何度もDVDで聞いたコンクールの課題曲。聞き間違えるはずない。あの人の音。


会えるかもしれない。



ごめんなさい、コウちゃん。


私はコウちゃんの存在も忘れ、音のなる方へと無我夢中で走った。