「じゃあ、ここで話そうか」
高垣先生は、自分の座っている隣の階段を手でパチパチと叩き、
「まあ、座れ」と言った。
私は、少し間隔をあけて、座ったつもりだったけど、意外に近い。
「1年で授業サボる勇気を認めよう!お前、なかなかいい筋してるな」
とても低い声で、その低音が体にまで響く感じがした。
「先生って、バイク好きなんですか?」
「おい、俺の話聞いてんのか?いちおう説教してんだけど」
「説教にしては優しすぎますよ」
外見は結構怖いけど、少し話しただけでわかる。
この先生、すごく優しい。
「俺が本気で怒ったら、校舎ぶっ飛ぶからね」
「マジですか!それ、見てみたいです」
もっとキツい目をしていると思っていたのに、笑うとすごく優しい目をしていた。
かっこよさよりも、目の優しさに驚く。

